鏡餅と鏡開き
鏡餅とは
お正月飾りとして、床において年神様にお供えする、お餅のことを言います。
いつの時代から鏡餅が飾られたと言う記録はあまりなく、室町時代に武家屋敷に
床の間を作るようになって、その床の間に鏡餅を飾ったようです。
なお、伊勢神宮でも正月に鏡餅を飾るとのことで、室町時代よりも昔から、
鏡餅はあったようです。
さて、鏡餅のいわれですが、まずお餅の形が、青銅製の鏡に似ているから
と言う事と、三種の神器の八咫鏡(やたのかがみ)にたとえ、橙が乗せられて
いますが、これも三種の神器の八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)を表し、
串柿が添えられますが、これも三種の神器の天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)を
あらわしているとのことです。
鏡餅の飾り方ですが、基本的には、三方の上に半紙を乗せて、その上に大小の
お餅(まあるい円盤状のもの)を乗せます。
後はお餅の下に裏白を敷いたり串柿を上に乗せたり、一番上には橙を乗せて、
昆布を添えたりします。
最近では上の写真のように家庭で便利なようにと、プラスティックの容器が鏡餅の
セットになっていて、その中には小餅が何個か入っているようなものが売られて
いて、便利になっています。
鏡開き
正月飾りとして、床の間などに飾った鏡餅は、年神様へのお供えですが、
年神様は松の内(1月7日)があけると、各家庭から帰られるのですが、
お供えの鏡餅はお下がりとして、いただくことになります。
鏡餅は武家の風習として、鎧などの具足に供えた具足餅(鏡餅)を下げて
雑煮にして食べて、これを「刃柄(はつか)」を祝うと言っていた。
鏡開きは1月11日にすると言う事になっていますが、これ昔は1月20日に
されていたものが、徳川家光の忌日が4月20日だったために、20日をきらい
幕府が武家の具足開きの日を十一日に定めた事から、以後鏡開きは
1月11日とされています。
なお、結婚式やその他めでたい席で鏡開きと言う事が行われますが、これは
樽酒の蓋のことを酒屋で「鏡」と呼んでいるからです。
次になぜ開きと言うかと言う事ですが、もともと武家社会の具足餅を
お下がりとしていただくときに、包丁で切ると切腹と言う事が連想され、
縁起が悪いとされて、開くという言葉には「運を開く」につながるので
開きとなったようです。
この事は、実際でも鏡餅は切らず、槌でたたくか手でたたいて割ります。
この割った鏡餅は、御汁粉やお雑煮にしていただくと、1年中無病息災で
いられると言われています。