お屠蘇とお屠蘇の作り方
お屠蘇とは
お屠蘇とは、薬草をみりんや、日本酒や赤酒に浸けた薬草酒で、
正月に飲むお酒になります。
このお屠蘇は今から約1100年あまり昔の弘仁年間に嵯峨天皇の時に、
中国の博士・蘇明が和唐使として日本に来た時に伝えたもので、
天皇四方拝(元旦の朝の礼拝のような儀式)の儀式後、お酒にこの
屠蘇散を浸して飲んだのが始まりとされています。
その後宮中の儀式を国民がこれにならい、元旦にお屠蘇を用いると
一年中の邪気を除き、家内健康で幸福を得られるとして、家ごとに
屠蘇酒を用いて新年のお祝いの習わしとしていました。
屠蘇の言葉の意味ですが、難しい漢字で読めない人もいるかもしれませんが、
「屠」には「死」「葬る」という意味があり、「蘇」という鬼を屠(ほふ)る
(殺す)といわれます。
つまり、邪気を払い無病長寿を祈り、心身ともに健康になろうという願いを
込めて飲むようになったと言う事です。
このお屠蘇を飲むためには、屠蘇器と言うもので飲みますが、その屠蘇器は
屠蘇散と日本酒・みりんを入れる銚子、屠蘇を注ぐ盃、重ねた盃をのせる盃台、
これらを載せる盆からなります。
このお屠蘇を飲む時は、東を向いて、年少者から順に年長者へと
順番に飲みます。
この時家長が杯にお屠蘇を注ぎますが、お屠蘇を飲んだ者は懐紙で
飲んだところを拭いて次の者に渡します。
なお、屠蘇に用いる三つ重ねの杯は小・中・大とありまして、
屠蘇三献といって、一人一人が上から順に各杯をとり、一回ずつ、
合計3回飲むのがしきたりだそうです。
お屠蘇の作り方
お屠蘇とは、薬草をみりんや、日本酒や赤酒に浸けた薬草酒ですので、
その薬草が何かがわかれば作ることができます。
昔からいろいろと用いられていて、地方によっても内容が変わりますが、
現在では山椒・細辛・防風・肉桂・乾薑・白朮・桔梗を用いるのが一般的で
であります。
なお、お屠蘇は邪気を払い、無病長寿を祝うことですので、昔から
正しい飲み方と心がけと言うものがあります。
それは、元旦の朝、若水(元旦の早朝に汲んだ水)で身を浄め神棚や仏壇などを
拝んだ後、家族全員が揃って新年の挨拶をし、雑煮の前にお屠蘇を飲みます。
その時使用される器は朱塗りまたは白銀や錫などのお銚子と朱塗りの三段重ね
の盃になります(屠蘇器)。
お屠蘇の作り方
薬局でお屠蘇散(お屠蘇の素)として山椒・細辛・防風・肉桂・乾薑・白朮・
桔梗等を処方してもらうのが正式な成分入りとなりますので、これを
お茶の袋に入れて、みりん・酒を300㏄に5~8時間溶け込んで、引き揚げて
その抽出酒(みりん)をお屠蘇として使用します。
ただ、1回分の分量が2g程度のため、薬局で1回分だけのものを調合して
くれないと思いますので、市販の屠蘇散のティーバッグを利用したほうが
便利です。
作り方は、本式と同じで、お酒もしくは本みりん計300mlを用意します。
みりんとお酒をブレンドして、甘さの調整をすると皆で飲みやすいでしょう。
その中に、屠蘇散を7・8時間浸します。薬効成分が溶け出すのを待ち、
袋をとりだします。
なお、この商品の成分は、白朮・防風・桔梗・桂皮・山椒とほぼ正式な
ものが入っています。
ほのかな薬草の香りとかすかな苦味が、新鮮な爽快感を感じさせてくれる
お屠蘇ができあがります。
あまり長時間浸しすぎると、濁ったり沈殿物ができる場合がありますので
注意が必要です。