マダニの媒介するSFTS(重症熱性血小板減少症候群)が全国に
マダニのSFTSとは
マダニのSFTSが最近のニュース話題となっています。
SFTSとは重症熱性血小板減少症候群といって2011年中国の
研究者によって発表された、新しいウイルスです。
ちょっと専門的になりますが、国の法律でブニヤウイルス科
フレボウイルス属の重症熱性血小板減少症候群ウイルスによる
感染症をいいまして、この感染がわかれば医療機関の医師は
直ちに都道府県知事に報告しなければならないとされています。
臨床的特徴は
主にSFTSウイルスを保有するマダニに刺咬されることで感染します。
厚生労働省によると、潜伏期間は6~14日で、発熱、嘔気、嘔吐、腹痛、
下痢、下血等の消化器症状を主徴として、時に、頭痛、筋肉痛、神経症状、
リンパ節腫脹、出血症状などを伴います。
血液所見では、血小板減少(10万/mm3未満)や白血球減少(4000/mm3未満)
血清酵素(AST、ALT、LDH)の上昇が認められます。
なんと致死率は10~30%程度で非常に怖い感染症であります。
日本の感染者53人中21人死亡
マダニに噛まれて、そのウイルスが感染して発症するわけですが、
体力や免疫力の落ちている場合に重症化することになり、厚労省
が言っている致死率より、この数字を見れば50%程度とかなり
怖い数字となっています。
2000年に入って中国で見つかったSFTSによる感染で渡航歴がある
人が発症した日本人の例が過去にありました。
ところが、2012年秋に山口の成人男子、2013年同じく山口県で成人
女性が発症して死亡と言うのが報告され、その後次々と感染・死亡の
報告が西日本を中心にされました。
研究によると、日本のSFTSは中国のSFTSとは少し塩基配列が異なって
いるそうで、中国のSFTSが日本に侵入して変異したものではなく、
日本にももともといたと言う事になるそうです。
この事を裏付けるように、西日本での発症例しかなかったのですが
最近国立感染症研究所によると、新たに、北海道・岩手県・宮城県・
栃木県・群馬県・長野県・岐阜県・滋賀県・三重県・京都府の10の
道府県で、SFTSという感染症の原因となるウイルスを持つ数種類の
マダニが見つかったといいます。
マダニの特徴
マダニですが、このダニは家ダニや粉ダニと言うような
我々が住んでいる家の中には通常いなくて、山の中の茂みや
草むらに生息しています。
体長は2~3mmと大型で、吸血後は10倍にもなります。
このマダニは吸血することで生活をしていて、通常は野生の
動物や家畜などの弱そうな頭皮や耳・目の周り、顔などに取り付いて
鋭い歯でかみつき、ノコギリのような歯を皮膚の奥に差し込むのです。
そのうえで、唾液をセメントのように固めて、振り払っても
簡単には離れなくなり、長いときには10日間も血を吸い
続けることもあると言う事です。
この唾液を入れられるときにSFTSに感染すると言う事です。
マダニに噛まれないために
国立感染症研究所や厚労省などが言っていますが、この
マダニに噛まれることで、SFTSに感染する可能性がある
ので、マダニに噛まれなければ感染することはありません。
このマダニは、幸いにも我々の家の中に住んでいることは
まずなく、草むらや茂みなどに生息していますので、たとえば
ピクニックで草の上でお弁当を食べると言ったときには、
シートを敷き直接草に接触しないとか、山野に行くときには
肌を露出しない服装を心がけると言ったことで、マダニに
取りつかれないので、服装に気を付けることです。
マダニは蚊のように服の上から刺されると言う事は、口の
構造上有りません。